日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
他科に学ぶ自己免疫疾患
膠原病性間質性肺炎
半田 知宏三嶋 理晃
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2017 年 120 巻 7 号 p. 899-906

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抄録

 膠原病に伴う肺病変は多彩であり, 間質性肺炎の他に気道病変や胸膜炎, 肺高血圧症などを呈することがある. 間質性肺炎は, 膠原病の予後にかかわる重要な臓器病変である. 病理学的には非特異性間質性肺炎パターンが多く, 特発性肺線維症と比較すると予後は一般に良好である. また, シェーグレン症候群ではリンパ増殖性疾患も併発することがある. 治療に関して, ランダム化比較試験が行われているのは強皮症のみである. 一般にステロイドと免疫抑制剤が使用されるが, 強皮症ではその効果は限られる. 近年特発性肺線維症に用いられる抗線維化薬の効果が強皮症を中心に検討されてきている. また, 治療不応例では肺移植も考慮される. 日常臨床では膠原病の特徴を有しつつも膠原病の診断基準を満たさない間質性肺炎が少なくないため, 現在そのような疾患をどう分類するかについて議論がなされている. それらは現在のガイドラインでは特発性間質性肺炎に含められるが, Interstitial Pneumonia with Autoimmune Features(IPAF) という概念が提唱され, その特徴が検討されている. 膠原病性間質性肺炎の治療に関するデータは十分ではなく, 今後の検討を要する.

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