日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
一般地域住民を対象とした難聴発生を予測する因子の縦断的検討
内田 育恵杉浦 彩子鈴木 宏和植田 広海曾根 三千彦中島 務
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2017 年 120 巻 7 号 p. 923-931

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抄録

 加齢性難聴の発生抑制に結びつく修飾可能な危険因子については未解明な点が多い. 地域住民を対象とした調査『国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究: National Institute for Longevity Sciences-Longitudinal Study of Aging(NILS-LSA)』で, ベースライン時点で難聴がなくベースライン以降に1回以上調査に参加し, 解析項目に欠損値のない男女1,374名に関して最長10年追跡し, 複数回参加を含む蓄積データから, 経過中の難聴発生に寄与する要因を一般化推定方程式により解析した. 合計24の独立変数の中から有意な因子として抽出されたのは7変数で, 難聴発生に対して教育年数は長いほどリスク減 (3年増加毎オッズ比 [OR]: 0.759, 95%信頼区間 [CI]=0.639-0.900), Body Mass Index は上昇するほどリスク増 (5kg/m2 上昇毎 OR: 1.287, 95%CI=1.029-1.610) に寄与しており, 先行報告と矛盾しない結果であった. 他に総身体活動量は増加するほどリスク増 (50METs∗min/1000/y 上昇毎 OR: 1.156, 95% CI=1.051-1.272) を示したが, 先行報告とは逆方向の結果であり, 背景について追加解析と考察を加えた.

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© 2017 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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