日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
アレルギー性結膜炎の診断と治療
患者満足度を上げる花粉症治療―耳鼻咽喉科と眼科の連携―
高村 悦子
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2021 年 124 巻 3 号 p. 171-175

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抄録

 花粉症の眼の症状は, 眼掻痒感を特徴とし, 充血, 流涙, 眼脂など急性結膜炎の臨床像を呈する. 眼脂は, 白っぽい糸をひくような眼脂を特徴とする. 結膜のスメア中に好酸球が認められれば確定診断となる. イムノクロマト法による迅速検査キット (アレルウォッチ®) 涙液 IgE) を用いた涙液中総 IgE 検査がより簡便で行いやすい.

 アレルギー性結膜炎の治療には, 抗アレルギー点眼薬を第一選択とし, 用法どおり使用しても症状が治まらない時には, 低力価のステロイド点眼薬を追加する. スギ花粉飛散初期から, 抗アレルギー点眼薬による初期療法を開始し, 飛散期も用法を守って抗アレルギー点眼薬を継続し, できるだけステロイド点眼薬を使用せずに, 花粉飛散期を乗り切ることを勧めている. 花粉症の鼻症状に対し, 鼻噴霧用ステロイド薬の使用が推奨されているが, 結膜炎に対しては, ステロイド点眼薬を処方する場合は, 眼圧上昇といった副作用を考慮し, 定期的に眼圧測定を行いながら使用する必要がでてくる.

 現在処方可能な8種類の抗アレルギー点眼薬は, いずれも内服薬や点鼻薬として認可されているものであり, 結膜炎の症状に対し, 耳鼻咽喉科医にも処方していただきたい. 点眼回数は1日4回がほとんどであるが, 最近, 点眼回数1日2回の抗ヒスタミン点眼薬が処方可能となっている. 点眼薬は高濃度で眼表面に作用するため, 結膜炎に対しては内服薬のみで治療を行うより点眼薬単独, または併用の方が有効である.

 目のかゆみに対し, 抗アレルギー点眼薬の点眼回数を自己調整している場合も少なくない. 抗アレルギー点眼薬をだいたい決まった時間に点眼していた「用法遵守群」では, 用法逸脱群に比べ, アレルギー性結膜炎による生活の支障度は低いことが報告されており, 抗アレルギー点眼薬を処方した患者に対し, 点眼状況を確認することも必要である.

 セルフケアとして, 防腐剤無添加の人工涙液や洗眼型点眼薬による洗眼を勧めている. アレルゲンの飛散時期には, 眼鏡の使用が有用である.

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