日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
原著
持続性知覚性姿勢誘発めまい (Persistent Postural-Perceptual Dizziness: PPPD) に対する抗うつ薬の効果について
八木 千裕森田 由香北澤 明子山岸 達矢大島 伸介泉 修司高橋 邦行堀井 新
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 124 巻 7 号 p. 998-1004

詳細
抄録

 持続性知覚性姿勢誘発めまい (Persistent Postural-Perceptual Dizziness: PPPD) は, 2018年に改訂された WHO の国際疾病分類 (ICD-11) に新規収載された慢性めまいを呈する疾患である. その前年にBárány Society によって診断基準が発表された. 抗うつ薬を用いた薬物療法, 前庭リハビリテーション, 認知行動療法が三大治療とされている. 本研究では, PPPD 90例を対象に, 抗うつ薬の治療効果を検討した. 使用した薬剤は, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI), セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRI), ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) である. 抗うつ薬投与によりめまいによる日常生活の支障度 (Dizziness Handicap Inventory, DHI) の改善を認め, 薬物療法が PPPD のめまい症状に有効であることが示された. 何らかの理由で薬物療法を行わなかった群では, 約1年の観察期間において初診時と比較しめまい症状の改善はなく, PPPD に対する治療介入の必要性が示唆された. 抗うつ薬の有用性が示された一方で, いずれの薬剤も高率に副作用を認め, 副作用出現率の上昇とともに治療継続率が低下したことから, 副作用のコントロールが治療効果をあげる上で重要と考えられた.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top