1997 年 100 巻 7 号 p. 762-769
上顎悪性腫瘍の原発巣が上顎洞と特定でき, 1.5年以上の経過観察ができており, かつ顎欠損模型が2個以上ある症例を対象として, その模型を同一条件下で写真に撮り, その写真上で顎欠損部の面積をプラニメーターで測定し, その経年的変化を追った. その結果, 面積は16/21例 (76%) で縮小傾向を示した. 80%の症例で顎欠損部がほぼ安定するのに術後1年以上の期間を要し, 全例では3年から5年の長期間を要した. したがって, 積極的に頻回の盛り上げ, 削除などの調整を念頭においた術後早期の顎補綴装用は, 患者のQOLの向上に大切である.