日本耳鼻咽喉科学会会報
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扁桃におけるCD27/CD70の発現とその機能
横井 秀格関 眞規子岡添 眞介奥村 康市川 銀一郎
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1998 年 101 巻 12 号 p. 1423-1429

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抄録

近年,CD27/CD70相互作用が,T細胞依存性B細胞活性化系において注目されている.今回,我々は,扁桃におけるCD27,CD70の発現とその機能を免疫学的手法を用いて検討した.
慢性編桃炎の診断にて当科で口蓋扁桃摘出術を施行した8例の扁桃リンパ球とそれぞれの末梢血リンパ球を用いた.
PWMを用いてのT細胞依存的にB細胞活性化を起こす系において,抗CD27抗体,抗CD70抗体投与によりlgG産生量が有意に低下したことによりCD27/CD70の抗体産生への関与を確認した.
扁桃リンパ球と末梢血のリンパ球におけるCO27+CD4+細胞,CD27-GD4+細胞の発現の比較検討では,未梢血のCD4+T細胞は,ほとんどCD27+細胞であった一方,扁桃のCD4+T細胞の分画は,CD27-細胞の発現が増加傾向にあった.
LD27-CD4+細胞の発現は,末梢血では平均2.5%,扁桃では平均4.9%であり,それらの発現量において,統計的有意差を認めた(P<0.05).
扁桃におけるCD27,CD70の局在は,抗CD27抗体陽性細胞は濾胞間領域に多数認められ,濾胞内に少数,暗殼にはごく少数存在した.一方,抗CD70抗体陽性細胞は濾胞内に少数存在するのみであった.
抗CD27抗体陽性細胞と抗CD4抗体陽性細胞の局在は酷似していた.抗CD4抗体と抗CD27抗体との二重染色では,胚中心においてCD4+細胞はほとんどCD27+であった.抗菌CD19抗体は胚中心内,暗殼に多数染色され抗CD27抗体との二重染色にて胚中心内暗殼寄りにCD19+CD27+細胞を認めた.
これらの結果より,扁桃においてもCD27/CD70は抗体産生等のT-B細胞間相亙作用に関与しており,扁桃でのメモリー細胞の増加が示唆された.

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