日本耳鼻咽喉科学会会報
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脳性麻痺小児における閉塞性睡眠時無呼吸
新谷 朋子朝倉 光司石井 歓吉田 瑞生形浦 昭克小笠原 英樹
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1998 年 101 巻 3 号 p. 266-271

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抄録

脳性麻痺の小児(CP児)における夜間の呼吸障害の程度と病態について考察する目的で,アンケート調査および睡眠時無呼吸を有するCP児の臨床的検討を行った.CP児233名を対象に夜間の呼吸状態についてアンケートを行った結果,いびきは147名(63%),鼻閉は46名(19.7%)と健常児に比べ有意に多く見られた.また,喘嗚は37名(15.9%),無呼吸は46名(19.7%)に認められた.アンケートの中で無呼吸を訴えたCP児48名を対験に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のスクリーニング検査を行つ.27%の例でapnea-hypopnea index(AHI)5の病的無呼吸を認め,57.5%例で最低酸素飽和度85%以下の低酸素状態を認めた.蜜た.重度の無呼吸があり精査•治療を行ったCP児10名では頸定してない症例が多く,アデノイド,扁桃肥大例は4名と比較的少なく,舌根レベルでの狭窄が多かつた.無呼吸に対する手術内容は,アデノイド•扁挑摘出術2名,アデノイド切除術2名,口蓋垂軟口蓋嘱頭形成術(UPPP)と舌根切除術1名,気管切開術2名で,いずれも術後経過良好であつた.保存的治療3例の内訳は,抗痙攣荊を変更して改善した1例,側臥位睡眠で改善した1例およびnasal continuous positlve alrway pressu (nasa1 CPAI)にて改善した1例であつた.このようにCP児の無呼吸は多種の要因がからみ治療が困難なことが多いが,閉塞部位の確定を行った後に手術を含めた適切な治療を行う必要があると考えられた.

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