日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
結核性中耳炎7症例の検討
西池 季隆入船 盛弘久保 武
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 103 巻 12 号 p. 1263-1271

詳細
抄録

耳鼻咽喉科領域の結核性疾患として,結核性中耳炎は以前に比べ臨床像も多様であり診断に苦慮することが多い.我々は,当院で治療した過去の結核性中耳炎を検討し最近の傾向を探った.
対象は,平成4年から11年までの過去8年間に大阪府立羽曳野病院耳鼻科で治療した結核性中耳炎7症例9耳である.7例の内訳は,男性6人,女性1人であり,平均年齢は40歳であった.これらの症例では結核菌が経耳管性に感染した例が多いと考えられた.中耳•外耳に肉芽病変のある例は多かったが,多発性穿孔は認めなかった.他に,耳漏を伴う鼓膜穿孔,滲出性中耳炎,外耳道の狭窄など所見はさまざまであった.しかし経耳管感染の結核性中耳炎の特徴として,発病初期に滲出性中耳炎の像をとる例が多いと推定された.塗沫,培養,PCR,病理検査には一長一短があり,確定診断にはこれらの検査を組み合わせることが必要であると考えられた.結核性中耳炎を疑った際に,ツベルクリン反応は補助的な検査であるが,肺X線検査は不可欠である.治療として,標準的な抗結核治療に2%カナマイシン点耳薬を併用した.慎重に使用するならば点耳療法は結核性中耳炎に対して有効である.
古典的な結核性中耳炎の診断基準のいくつかの項目は適当ではなかった.このことから,結核性中耳炎を早期に診断するために我々は新たな早期診断のための手引きを提唱した.

著者関連情報
© 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top