日本耳鼻咽喉科学会会報
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80Hz変調周波数追随反応に対するネコ蝸牛神経核の関与
鈴木 豊
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2000 年 103 巻 3 号 p. 177-187

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抄録

(背景)周波数特異性の高正弦波的振幅変調音(SAM音)を刺激音として得られる聴性定常反応は変調周波数追随反応(AMFR)と呼ばれている.聴性定常反応の刺激頻度としては40Hzを用いた報告がほとんどあり,40HzAMFRは睡眠時に検査を行う乳幼児への他覚的聴力検査としての臨床応用は困難とされてきた.一方睡眠時の被験者を対象とした場合,変調周波数を80から100Hzにすると聴力レベル付近まで反応の検出が可能である.AMFRの起源は確定されていないが40HzAMFRは覚醒時,80HzAMFRは睡眠時に良好な反応が得られることから,変調周波数の違いや意識レベルはり起源が異なる可能性がある.蝸牛神経核および下丘中心核には振幅変調音に同期発火する細胞が多数分布しており,こ
れらとAMFRとの関連について言されているが,本研究の目的は80HzAM-FRの形成に蝸牛神経核が関与しているかどうかを検討することにある.(方法)麻酔時のネコを用いクリック短音及びSAMに対する反応の蝸牛神経核内とその周辺における電位分布を検討した.次いで蝸牛神経核内の反応がfar fieldpotentialとして記録可能かを確認する目的で,蝸牛神経核を含む脳断面とで一定間隔の位置で変調周波数80HzのSAM音に対する反応波形を記録し,脳内においてnear field potentialからfar field potentialに移行していく過程における記録波形の位相の変化を検討した.(結果)蝸牛神経核内で,発生源の異なると推定される2つの電位,すなわち変調波様の波形と刺激音様の波形の重畳した波形が記録され,前者はAMFRとの関係が示唆された.この変調波様反応波形は蝸牛神経核周囲では急激な位相の変動を示したが,小脳表面に近づくにつれて安定した固定電位を形成していた.(結論)以上より蝸牛神経核は変調周波数追髄反応の起源の1つであることが示された.

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