日本耳鼻咽喉科学会会報
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頭頸部における遊離組織再建手術失敗例の二次再建手術について
今手 祐二大上 研二下郡 博明池田 卓生清水 徳雄小野 信周遠藤 史郎中野 智子
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2000 年 103 巻 3 号 p. 193-198

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抄録

遊離組織による再建技術が頭蓋底外科を含めた頭頸部腫瘍治療に占める役割はきわめて大きい.最近では遊離組織による再建手術の成功率も95%前後とする報告も多い.しかし裹を返せば,現時点でもいずれの施設においても数%の失敗例は回避し得ないということである.これまで遊離組織再建失敗については主にその原因やリスクに関する検討がなされてきた.今回,これまで当科において行った遊離組織再建一次手術失敗例の二次手術について,特に遊離組織全壊死の場合の処置について検討した.対象は1990年8月より1999年5月までに,山口大学医学部耳鼻咽喉科において頭頸部手術時に遊離組織再建を行った74症例である.再手術を必要とした8列中3例は血管の再吻合や移植などにより救済可能であったが,5例は遊離組織全壌死に陥った.全体での生着率は93.2%であった.遊離組織全壊死5例中4例に二次再建手術を行つた.原発巣の再建において,2例に有
茎筋皮弁を,2例に遊離組織を用いた.二次再建手術を行う場合,壊死再建組織摘出時期,二次再建の有無,再建時期,再建組織選択,血管選択などの項目を検討する必要がある.特に両頸部郭清後に重症感染を伴う場合など,頸部での栄養血管選択が困難な場合,橈側皮静脈の一部をtransposition並びに一部をveingraftとして使用する方法が有用であった.

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