日本耳鼻咽喉科学会会報
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歯性上顎洞炎の病態と内視鏡下鼻内手術の有用性
佐藤 公則
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2001 年 104 巻 7 号 p. 715-720

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抄録

上顎洞炎の保存的治療で効果がなく, 手術的治療を行った歯性上顎洞炎34例 (35側) を臨床病理組織学的に研究し, 最近の歯性上顎洞炎の病態と治療を研究した.
1) 最近の歯性上顎洞炎の原因歯は, 不十分な根管処置が行われた歯科処置後の歯がほとんどであり, 未処置の齲歯が原因である例はまれであった. 歯科的に治療された歯で外見上齲歯がなくても, 歯性上顎洞炎の原因歯として疑うべきであるといえた.
2) 上顎洞炎の治療は, 内視鏡下鼻内手術が有用であり, 歯性上顎洞炎は内視鏡下鼻内手術の良い適応であった.
3) 原因歯の治療に関しては, 原因歯が根管処置歯の場合は, 抗生物質により根尖病巣の消炎療法をまず行う. 術後に上顎洞の換気と排泄が十分保たれている場合は, 多くの例で原因歯の症状は消失し原因歯 (根管処置歯) の保存が可能であった.

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