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日本耳鼻咽喉科学会会報
Vol. 105 (2002) No. 2 P 152-157

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http://doi.org/10.3950/jibiinkoka.105.152


われわれは頭頸部扁平上皮癌細胞 (HNSCC) に対してシスプラチンがカスパーゼ9の活性化を誘導し, カスパーゼ9の特異的抑制剤がこのHNSCCにおけるシスプラチン誘導性アポトーシスを抑制することを報告してきた. 本研究の目的は, シスプラチン耐性 (抵抗性) HNSCCにおいてシスプラチンによるカスパーゼ9活性化が抑制されるかどうかを調べることであった. シスプラチン耐性HNSCC株はシスプラチン存在下で増殖するものが選択された. シスプラチン処理後のプロカスパーゼ9分解は耐性株では検出されなかったが, 耐性株の親株であるシスプラチン感受性HNSCC株では検出された. カスパーゼ9活性を合成ペプチド分解能で検討したところ, シスプラチン処理後のカスパーゼ9活性は耐性株において感受性株と比較して低かった. カスパーゼ9の活性化にはチトクロームCの細胞質放出が必要と考えられているため, シスプラチン処理に反応する細胞質チトクロームCの発現レベルを検討した. 興味深いことに, シスプラチン処理後の耐性株と感受性株では同程度の細胞質チトクロームCの増加が認められ, Bcl-2関連蛋白 (Bcl-2とBcl-XL) の発現にも変化を認めなかった. これらの結果は, ある種のHNSCCではカスパーゼ9活性の抑制がシスプラチン耐性に関与することを示している. またこの抑制機構はチトククロームCの細胞質放出に依存しない可能性がある.

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