日本耳鼻咽喉科学会会報
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先天性中耳真珠腫48例の検討
手術所見を中心として
小島 博己宮崎 日出海田中 康広志和 成紀本多 芳男森山 寛
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2003 年 106 巻 9 号 p. 856-865

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抄録

1. 当科で手術を行った先天性真珠腫48耳について手術所見を中心に検討した.
2. 初発症状で難聴を訴えたものはopen型真珠腫に多くみられ.耳漏•耳痛を呈したものはclosed型真珠腫に多くみられた.
3. 真珠腫の存在範囲は今回の検討では鼓室後上部に多く認められたが,今回の検討では進行例が多く,今後小真珠腫の症例が増えた時点で再検討する必要があると思われた.
4. 耳小骨奇形の合併を疑わせる例はopen型真珠腫に多くみられた.
5. 半数以上の症例にアブミ骨上部構造の消失が認められた.
6. 日本耳科学会用語委員会の聴力改善判定基準(2000年)による成功率は77.8%であった.一期的手術での成功率は81.8%,段階手術では73.9%であった.
7. 外耳道後壁を保存した症例の再形成真珠腫による再発は5.6%であった.また段階手術時に真珠腫上皮の遺残が認められたものは48.0%であった.

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