日本耳鼻咽喉科学会会報
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頭頸部がん治療の現状と将来展望
病理医の立場から
落合 淳志
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2005 年 108 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

頭頸部腫瘍の病理は臓器の多彩性ならびに出現する腫瘍の多彩性により現在国内はもとより国際的にも統一的な病理学的取り扱いが作成されていない. このため, 症例数の少ない頭頸部がんでは多施設の症例を持ち寄り, 臨床病理学的検索が十分なされていないことが現状である. 現在, 頭頸部がんの診断においても, 病理形態学的手法, 画像解析法および分子生物学的手法が取り入れられている. 我々の施設においても, これまでに国立がんセンター東病院の症例をもとに舌がんおよび喉頭がんの臨床病理学的悪性度の検索や, 放射線治療法の感受性を検討してきた. また生検組織を用いた放射線化学療法の感受性についてretrospectiveな症例を検討し, 遺伝子発現による治療法感受性について報告してきた. 本論文では, 病理から考える頭頸部がんの問題点および我々がこれまで検討してきた頭頸部がんの臨床病理学的検討, 画像解析法の開発および遺伝子発現チップによる治療感受性因子の検討などについて報告する.

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