日本耳鼻咽喉科学会会報
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粘表皮癌の臨床病理学的検討
坂本 菊男伊豆丸 慎介栗田 知幸宮嶋 義巳中島 格
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2005 年 108 巻 2 号 p. 142-149

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抄録

1978年から2002年までの24年間に久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科で治療を行った粘表皮癌の初治療例36例のうち, 根治治療を行った33例についてその臨床的特徴と治療成績とを検討した. また大唾液腺の24例を対象にGoodeらの粘表皮癌のgrade分類を用いて病理学的悪性度を検討した.
部位は大唾液腺24例, 口腔3例, 中咽頭3例, 副鼻腔3例で, 性別は男性21例, 女性12例であった. 年齢は11歳から89歳まで (平均: 63歳) であった. 全体の他病死を打ち切りとした5年累積生存率は64%であった. 部位別には大唾液腺56%, 口腔67%, 中咽頭100%, 副鼻腔100%であった. T別にはTが進むに従って低下し, T4で51%であった. NOは80%であったが頸部リンパ節転移例で22%と低値を示し, NO例との間に有意差を認めた. Stage別にはStage I: 71%, Stage II: 83%, Stage IV: 54%であった. 死因は原発巣死4例, リンパ節死1例, 遠隔転移死6例, 他病死4例であった. 遠隔転移部位は肺4例, 骨1例, 肝1例であった. 治療は全例に広範切除が行われていた. 頸部郭清術を施行した1例でルビエール再発を起こしていた. 放射線治療を施行しなかった20例で原発巣死を4例認めた. 化学療法を施行しなかった31例で遠隔転移死を6例認めた. 大唾液腺24例のGoodeらのgrade分類はlow grade: 3例, intermediate grade: 3例, high grade: 18例であった. Grade別の生存率はlow grade: 100%, intermediate grade: 100%, high grade: 43%であった. 原発巣死4例と遠隔転移死6例はhigh gradeであった. 大唾液腺の治療成績が不良であり今後の治療方針としてhigh grade群は術後に放射線治療と化学療法が必要である. 頸部リンパ節転移例9例のうちリンパ節死1例と遠隔転移死5例を認め頸部リンパ節転移例は化学療法が必要と考える.

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