日本耳鼻咽喉科学会会報
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嗅覚障害に対するステロイド点鼻の血中ホルモン動態に及ぼす影響
牧野 伸子太田 康石川 敏夫市村 恵一
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2005 年 108 巻 5 号 p. 528-532

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抄録

嗅覚障害に対しステロイド点鼻を行った23例を対象に, ステロイド点鼻による血中ホルモン動態と嗅覚障害の改善度の関連を検討した. ステロイド点鼻は12週間行い, 血中コルチゾール, ACTHを測定した. 嗅覚障害の改善は基準嗅力検査, 自覚症状の変化から判断した. 投与後のコルチゾールは0.1~25.0μg/dl, 平均5.4±5.9μg/dl (正常値4~18.3μg/dl), ACTHは5.0~55.0pg/ml, 平均13.8±11.7pg/ml (正常値7.4~55.7pg/ml) であった. コルチゾール, ACTHのいずれか一方または両者の値が正常範囲より低下した低下群が14例 (60.9%), 低下がみられなかった不変群が9例 (39.1%) であり, ステロイド点鼻により半数以上に血中ホルモン動態の変化がみられた. 一方, 嗅覚障害の改善は低下群の4例 (28.6%), 不変群の4例 (44.4%) で認められ, 両群間に有意差はなかった. 両群の嗅覚障害改善度に有意差がなかったことから, ステロイド点鼻の嗅粘膜への局所効果が主に嗅覚障害の改善に関与しているものと推測できる.

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