日本耳鼻咽喉科学会会報
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実験的高血圧動物 (家兎) における2, 3の平衡機能検査成績
松永 喬松永 亨川本 浩康福田 宗弘
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1969 年 72 巻 12 号 p. 2127-2142

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抄録

最近のめまい患者の中には高血圧症あるいは脳動脈硬化症が多い. その際のめまいは末梢性にも中枢性にも発現しうると考えられるが, 今回はこの問題を究明するため, まず高血圧症のみにおいて前庭平衡機能検査に異常がみられるかどうか, みられるとすればその責任部位は末梢迷路か, 中枢かを検討しようと30羽の正常成熟学兎を用いて実験的高血圧を作成し, 6ヶ月乃至9ヶ月の慢性実験を行い, その際の平衡機能検査の異常を調べ, 次の如き成績を得た.
(1) 1側腎動脈狭窄に加えて両側調圧神経切除術を行い, 平均30mmHg以上の持続的高血圧家兎を作り得た.
(2) その際, 眼振反応としては自発眼振は実験期間中いずれも認めず, 検討し得た高血圧家兎17羽中11羽に頭位眼振が認められた.
(3) Preyer反射, 迷路性向位反射, 運動反射などは実験期間中殆ど正常であった.
(4) 回転後眼振検査では持続時間の左右差に著明な変化なく, 軽度の短縮を認めた.
(5) 組織学的検索では蝸牛迷路も特別な病的変化は認められなかった.

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