日本耳鼻咽喉科学会会報
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視性眼振の臨床的研究
野口 五
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1969 年 72 巻 7 号 p. 1170-1181

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抄録

めまい症例40例にOKPラストを行ない, 得られたoptokinetic patternを評価するために4つのindicatorをとりあげて, 便宜的な分類を行ない分析的考察を加えた. すなわち, 眼振頻度を5型に, 緩徐相速度の上昇を6型に, 急速相の方向を2型に, 左右のOKP差を3型に分類し, その相互関係と, 同時に行なつた頭位性眼振検査, 温度性眼振検査, 自記オージオメトリー, 断続語音による両耳合成能検査の成績との関連性について検討し次の結果を得た.
(1) 上記の4つのindicatorの中で, 眼振頻度, 緩徐相速度の上昇および急速性の方向の3者はともに密接な関係をもって変化する.
(2) 眼振頻度の不良型, 緩徐相速度の上昇の異常型, またはinversionを示すものは, 他の検査で上枢障害を示すものが多い.
(3) 眼振頻度の良好型, 緩徐相速度の上昇正常型か谷型を示すものは, 他の検査で正常または末梢迷路障害を示すものが多い.
(4) これに対して左右回転の相違による眼振解発の差は, 他の3つのindicatorともまた, 他の検査法とも一定の関連を示さなかった. このことは左右差が障害部位と関係のない他の独立的な因子によって影響されているということを示しているものと思う.
上記の知見は現在までに述べられている視性眼坂の病的状態の出現傾向が一般的なruleとしても認められたことを示している.

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