日本耳鼻咽喉科学会会報
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微小ガラス電極による蝸牛内リンパNa+およびK+濃度のIN VIVO測定
菅 文朗中島 恒彦
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1970 年 73 巻 8 号 p. 1304-1310

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抄録

内リンパの組成については従来in vitro測定が行われてきたが, 今回われわれは特殊な微小ガラス電極を用いてモルモット内リンパのNa+およびK+濃度変化を生体内で測定することに成功した. Na+濃度の測定にはCorning社NAS 11-18ガラス電極を用い, K+濃度の測定にはNAS 27-4ガラス電極を用いた. 動物実験に先立って, 各種条件がNa+およびK+濃度の測定におよぼす影響について基礎実験を行った. モルモットでの測定では蝸牛基底廻転のscala mediaに微小測定電極と微小比較電極を刺入した. 呼吸停止によって内リンパのNa+濃度は著しく増加し, K+濃度は減少した. 呼吸再開によってNa+およびK+濃度は以前のlevelに戻ったが, その際にreboundを示す例が多かった. 強大音響刺激は直ちに内リンパのNa+濃度を増加させ, K+濃度を減少させた. Asphyxiaや強大音響刺激による内リンパNa+濃度の変化は内リンパ静止電位の変化とほぼ逆比例し, 内リンパK+濃度の変化は内リンパ静止電位の変化とほぼ正比例することがわかった.

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