日本耳鼻咽喉科学会会報
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中枢性平衡障害例における減衰振子様回転検査法の診断学的意義
神崎 仁高橋 正紘
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1974 年 77 巻 11 号 p. 917-930

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抄録

1.目的.減衰振子様回転検査法(DPRT)の定性的所見,とくに駅振リズムの異常の有無を中枢性平衡障害例について調べ,この結果を視運動眼振検査(OKP-test)所見および視標追跡運動検査(ETT)所見と関連させ検討し,DPRTの診断的意義を追求した.
2.対象.脳腫瘍54例(内訳は大脳腫瘍10例,小脳半球腫瘍6例,中脳腫瘍6例,小脳橋角部腫瘍30例,脳幹部腫瘍2例),小脳変性あるいは萎縮6例.脳血管障害18例,の計78例.腫瘍偏は手術で診断が確認されたもの,血管障害例は症状および神経学的所見から中枢性障害と考えられるものに限つた.
3.成績(表2.3)
a)DPRTの眼振リズムが正常,OKP.ETT異常・小脳変性(萎縮),小脳腫瘍,小脳橋角部腫瘍(小~中等大,脳幹の圧迫症状のないもの),クモ膜下出血,など.
b)DPRTの隈振リズムは軽度異常,OKP.ETT異常・脳幹部に二次的影響を及ぼす腫瘍(小脳,小脳橋角部.大脳など),および脳血管不全.
c)DPRT,OKP.ETTいずれも異常:b)の腫瘍で脳曽に対する影響(脳圧亢進,圧迫などによる)がさらに強い場合,脳血管不全で脳幹の循環障害の強い場合.
d)DPRT所見のみ異常,OKP.LTT正常.脳腫瘍例にはまずみられない所見の組合せ.稚骨脳底動脈循環不全症あるいは本症の疑われる症例にみられる.
突発性難聴やメニエール病の中にこのグループに属するものがある.
e)DPRTで反応低下,OKP.ETT異常.脳幹部腫瘍,後頭蓋窩腫瘍,脳血管不全にみられる.
4.結論
のDPRTにおける眼振リズムの異常は主に脳幹障害を示す.
2)DPRTはOKP.ETTの所見との関係から中枢性平衡障害の部位診断に役立つ

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