日本耳鼻咽喉科学会会報
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茎乳突孔からの実験的迷路障害
とくに種々の溶液注入と免疫学的操作による障害の比較検討
隈上 秀伯津田 靖博
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1974 年 77 巻 2 号 p. 115-119

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抄録

目的:茎乳突孔より顔面神経内に墨汁,テトラサイクJソ,酸,アルカリ,エピレナミソ,ヒスタミソ,ピロカルピン,アトPピンなどの種々の溶液を注入した時の迷路障害のあらわれる様式と,人血清によつて感作した動物に同様の操作で血清を注入した時にあらわれる迷路障害の様式について比較検討することを目的とした.
実験方法:兎および猫の顔面神経を手術顕秩E鏡下に露出し,茎乳突孔より神経内に種々の溶液を注入した.
結果:
1.種々の溶液注入の場合には注入側の長期の迷路機能低下を生じた.
2.感作動物においては抗原の誘発注入によつてメニエール病に類似した急性可逆性の発作が観察された.発作は温度反応が陰性になるまで操り返し惹起させることができるが,それ以後は抗原血清の注入によつて何ら前庭症状はあらわれない.しかし温度反応が正常に戻ると再び血清の注入によつて同様の前庭症状が再現された.発作反復後半規管麻痺をきたした例には内リンバ水腫の所見を認めた.
3.種々の溶液注入の場合には眼振は注入側の反対側に向かい,頸部は注入側に捻転し,注入側の瞳孔の収縮と耳介血管の拡張がみられたが,感作動物に誘発注入を行った場合にはこれらの症状は全く逆の関係にあった.
4.種々の溶液注入後,注入側の瞳孔が散大する時期には内耳病理組織標本に内リンバ系の拡大が認められた.

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