日本耳鼻咽喉科学会会報
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実験的滲出性中耳炎モデルにおける免疫組織学的研究 (第2報)
免疫複合体の生理活性と中耳病態
朴沢 孝治
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1988 年 91 巻 3 号 p. 328-332,453

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抄録

滲出性中耳炎は小児に多発する等宿主側因子の関与も大きいと考えられる. そこで宿主の免疫準備状態によって変化する免疫複合体の性状の変化が中耳炎病態に与える影響を調べるため低分子量及び高分子量の免疫複合体をin vitroで作製して中耳炎惹起実験を行った. この結果, 低分子量免疫複合体は, 高分子量のものに比べマクロファージ遊走活性が強く, このような生理活性は中耳炎の病態にもよく反映されていた. また可溶性免疫複合体は, 抗原単独よりも中耳腔内に滞留し, 特に低分子量のものにこの傾向があった. 以上より, 未熟な免疫準備状態の際に形成されるであろう低分子量免疫複合体は, 滲出性中耳炎の遷延化に寄与する可能性が示された.

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