1988 年 91 巻 6 号 p. 887-894,987
本法は前腕皮弁によって作製された咽頭気管瘻の中にリードの組み込まれた発声装置を挿入し, 呼気によってリードを鳴らして発声させるもので, 瘻管の形状および発売装置を工夫することにより瘻管を通しての唾液や食物の流出をほぼ完全に防止し, 同時に内腔を皮膚によってライニングされた瘻管の作製により長期間の異物挿入に伴う組織反応や感染といった問題をも解決した.
発声はprosthesis装着直後より可能であり, 練習の必要がない. 得られた音声もこれまでの方法に比べ明瞭で強大である. さらに呼気の強さによってピッチが可変しうるリードを開発し, 従来の方法では困難であった抑揚のある会話を容易に得ることをも可能にした.