1988 年 91 巻 6 号 p. 915-925,999
鼓室形成術における耳小骨連鎖再建に人工材料による耳小骨が使用される機会が多くなってきた. ハイドロキシアパタイトは生体内組織との親和性が高く, 人工骨や人工歯根として注目されている. しかし実際に人工耳小骨としてこれを使用した際に, どのような状態で存在し, 機能しているかについての基礎的研究は行われていない. 今回著者は, ネコ中耳腔においてキヌタ骨を摘出し, 代わりに密度99.5%のハイドロキシアパタイトの人工耳小骨を用いて耳小骨連鎖の再建を行い, 経時的にその聴力の推移および組織学的観察を行い, その安定性と機能の状態を基礎実験で確認した.