1988 年 91 巻 9 号 p. 1444-1450
ハウスダスト抗原,ヒスタミン,ロイコトリエン(LTD4), PAF,プロスタグランディン(PGD2)による鼻粘膜誘発反応を行った.くしゃみ発作はハウスダスト抗原誘発,ヒスタミン誘発の際認められた.鼻汁分泌がみとめられたのはハウスダスト抗原誘発,ヒスタミン誘発,ロイコトリエン(LTD4)誘発,PAF誘発であった.ハウスダスト抗原誘発,ヒスタミン誘発による鼻汁分泌が最も著明であった.ヒスタミン誘発による鼻汁分泌はロイコトリエン(LTD4)誘発による鼻汁分泌より多かった.ロイコトリエン(LTD4)誘発による鼻汁分泌はPAF誘発による鼻汁分泌より多かった.鼻腔通気抵抗比の増加はハウスダスト抗原誘発,ヒスタミン誘発,ロイコトリエン(LTD4)誘発,PAF誘発の順であったが,ヒスタミン誘発,ロイコトリエン(LTD4)誘発,PAF誘発による総鼻腔通気抵抗比に有意差は認められなかった.プロスタグランディン(PGD2)誘発では鼻症状に変化は認められなかった.誘発された症状や閾値濃度から考慮すると,アレルギー性鼻炎の症状形成に最も強く関与しているのはヒスタミンとロイコトリエンと思われた.