1992 年 95 巻 11 号 p. 1808-1814,1893
頸動脈浸潤を認める頭頸部扁平上皮癌進展症例の根治術施行を前提とし, 頸動脈切除側の脳血流量を補い, かつ頸部手術の根治性を損わないという条件を満たす血行再建術として, 前額部皮下を通過する健側外頸一患側中大脳動脈バイパス術を開発した.
平成2年6月から平成3年9月の間に, 一側総頸動脈または内頸動脈に浸潤した頸部リンパ節転移を伴う下咽頭および中咽頭扁平上皮癌4症例を対象として, 本バイパス術を施行し, 頸動脈切除術を伴う根治術を行った. 全例において, 頭蓋内合併症を予防しえた. 本術式は頭頸部扁平上皮癌症例における頸動脈切除に際して, 有用な血行再建術であると考える.