日本耳鼻咽喉科学会会報
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実験的鼓膜切開創の修復に関する形態および強度の研究
成田 七美
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1993 年 96 巻 3 号 p. 457-465,547

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抄録

鼓膜の緊張度, 強度が主に鼓膜固有層の放射状線維で保たれていることに注目してこれを横断する線状切開を作成し, 形態微細構造上の回復過程を観察し, 切開修復鼓膜の引っ張り試験を行い強度の回復過程を検討した. その結果, 透過電顕下での切開4カ月後の鼓膜では, 放射状線維束の断端はずれたままで修復していた. 鼓膜切開後2年経過しても放射状線維が連続的に修復再生している状態は全くみられず, 走査電顕下では切開創の上に瘢痕による膠原線維の塊が厚い層状組織として付着しているのが観察された. しかし放射状線維が連続的に修復しなくても, 修復鼓膜の力学的強度は切開2カ月後で約70%, 4カ月後で約90%の強さに修復した.

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