1993 年 96 巻 9 号 p. 1404-1409,1573
感音性難聴患者180例を対象に, 57S語表による語音明瞭度検査の結果を検討した. 異聴マトリックスを子音を無声子音, 有声子音, 鼻音に分けて作成した. 次に, 子音の出現頻度を57S語表と日本語会話の間で比較検討した. 日本語会話において出現頻度の高い子音はt, h, g, m, nであった. 感音性難聴患者の異聴においては, tとhはkに, dはbrに, gはbdrにmはnrに, nはmrに異聴した. 感音性難聴の明瞭度の改善を試みる場合には, 上記の異聴の改善を目標とすれば効率がよいと結論した.