日本耳鼻咽喉科学会会報
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磁気刺激装置による顔面神経の検討
山川 卓也芳川 洋桜井 淳市川 銀一郎
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1993 年 96 巻 9 号 p. 1410-1416,1573

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抄録

磁気刺激を用いて, 顔面神経の複合筋活動電位, 並びにBlink Reflexを記録した. 対象は正常成人10名とベル麻痺2例. 刺激部位は皮質運動野, 側頭部, 耳下部, 三叉神経前頭枝眼窩上神経とした. 正常例では磁気刺激においても複合筋活動電位の記録は可能であり, かつ側頭骨内, 及び皮質も刺激可能であった. 潜時は皮質刺激が最も長く, 顔面神経の末梢へいく程短縮し, 耳下部刺激が最も短かった. またBlink Reflexでは電気刺激と同様に刺激と同側のR1, 両側のR2が出現した. ベル麻痺症例では反応の振幅は小さく, Blink Reflexでは対側のR2のみが認められた. 磁気刺激による中枢から末梢へ至る複合筋活動電位とBlink Reflexとの併用により, 顔面神経麻痺症例の病態の評価に有用と思われる.

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