1993 年 96 巻 9 号 p. 1482-1489,1577
ポリペプチド系抗生物質Tuberactinomycin (Tum) の13種類の誘導体について, 化学構造と耳毒性の強さとの関連を検討した. まず耳毒性を定量的に比較する方法を確立するため, アミノグリコシドTOB, GM, NTL, ISP, AMKを用いて, カエル摘出後半規管膨大部神経の機械的内リンパ流動に対する活動電位に与える影響を測定し耳毒性を比較したところ, 従来の報告と一致する結果が得られた. 同じ方法でTum誘導体の耳毒性を比較したところ, 酸性または塩基性の基を持つものは脂肪族の基を持つものよりも強い耳毒性を持つ傾向がみられた. またアミノグリコシド及びTum誘導体の両方で, 溶液の濃度により各薬剤間の耳毒性の程度が異なる傾向が見られた.