1994 年 97 巻 5 号 p. 887-897
1) -SP増大現象を示すメニエール病症例において,血清抗II型コラーゲン抗体値は,コントロール群に比較して有意に高値を示した.
2) 血清免疫複合体についてはメニエール病群とコントロール群との間に有意差は認められなかった.
3) 血清IgG, C3,抗II型コラーゲン抗体値,免疫複合体値の平均値を比較すると,いずれもRA,メニエール病,コントロールの順に高値を示したことから,RAではより全身性に,メニエール病ではより局所性に免疫反応が起こっているものと推察した.
4) メニエール病群においてその血清抗II型コラーゲン抗体値が高く,血清ICはコントロール群と比較して差がないことから,局所形成のICが内耳血液関門を通過せず,in situ ICとして内耳局所に沈着している可能性を推察した.
5) II型コラーゲンに対する異常免疫反応が,内リンパ水腫発生メカニズムの一部を担っている可能性が窺えた.