1995 年 98 巻 4 号 p. 659-668,757
臨床所見の改善までに1週間もしくは2週間のcefaclor (CCL) やcefixime (CFIX) の使用を要した小児急性中耳炎, 慢性副鼻腔炎急性増悪例を対象として, 上咽頭細菌検査を1週おきに行い検出菌の経時的な変化について検討した. CCL使用後はH. influenzae, CFIX使用後はS. aureus, S. pneumoniaeが検出されやすい傾向を認め, 特に小児急性中耳炎の主な起炎菌であるH. influenzae, S. pneumoniaeに注意を要すると思われた. H. influenzaeが連続して検出された症例4名において, MICの有意の上昇がみられた. 臨床所見は改善し菌量も減少した症例であり, 抗生物質の使用により大部分の感受性株が死滅し, その後に少数の耐性株が顕在化したものと考えられた.