73例の特発性および亜鉛欠乏性味覚障害患者にピコリン酸亜鉛を投与し, その効果を二重盲検法によって検討した. 亜鉛投与群には1カプセル中29mgの亜鉛を含有するピコリン酸亜鉛剤を1日3回経口投与し, 3カ月経過した時点での自覚症状改善度, 濾紙ディスク法および全口腔法による治療効果, 血清亜鉛値について対照群との比較検討をした. 自覚症状改善度および全口腔法による治療効果の比較では両群の間に有意の差は認められなかったが, 濾紙ディスク法による治療効果の比較では亜鉛投与群において有意の改善がみられた. また血清亜鉛値においても亜鉛投与群で有意の上昇が認められた.