2022 年 125 巻 7 号 p. 1104-1109
全身麻酔下手術において, 気管内挿管は日常的に行われているが, 施行医の技量の問題や喉頭展開困難などにより, 挿管操作時に喉頭および気管粘膜の損傷が生じることがある. また, 挿管チューブの不適合や過剰なカフ圧により後部声門や声門下の粘膜に壊死を来し, 抜管時点では多少の出血以外問題はないものの, 緩徐に狭窄し, 結果として呼吸困難に至る例もある. 当院でそのような例を比較的短期間に3例経験し, いずれも良好な臨床経過をたどったので, 症例毎の術前診断と外科的治療法の選択の重要性について報告する. また, 医原性の上気道狭窄としての本疾患の病態および適切な診断・治療の重要性について, 若干の文献的考察を交えて提示する.