日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
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総説
慢性上咽頭炎に対する上咽頭擦過療法
原渕 保明
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2025 年 128 巻 3 号 p. 205-214

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抄録

 慢性上咽頭炎が関連する症状は多岐にわたり, しかも, ありふれた疾患であるため, わが国における患者数は相当数に上る. 1960~1970年代に本疾患に対し盛んに行われていた1%塩化亜鉛液を盲目的に上咽頭に塗布する治療に取って代わって, 近年, 内視鏡を用いて上咽頭を観察し, 擦過する内視鏡下上咽頭擦過療法 (Endoscopic Epipharyngeal Abrasive Therapy: E-EAT) が開発された. 最近では, 新型コロナウイルス感染後遺症に対する E-EAT の有効性が注目され, 2019年には日本口腔・咽頭科学会に上咽頭擦過療法検討委員会が設立された. その委員会では本疾患の診断基準は「1) 1カ月以上続く薬物療法などで症状が改善しない慢性上咽頭炎を疑う症状がある. 2) 鼻・副鼻腔, 中・下咽頭, 喉頭に器質的疾患がない. 3) 内視鏡によって上咽頭炎症所見 (粘膜の発赤, 腫脹, または上咽頭由来の後鼻漏粘液付着) を認め, かつ上咽頭擦過によって出血を認める, の3項目全てを認めること」と提唱した. また, EAT の作用機序としては, 1) 粘膜収斂作用, 抗炎症・抗ウイルス作用, 2) 瀉血作用, 3) 迷走神経刺激作用の3つを提唱した. さらに, 多施設共同前向き試験を行い, その結果 EAT の有効性に関する客観的エビデンスを得た.

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