耳鼻咽喉科臨床
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前庭神経内側核および外側核に対するジフェンヒドラミンの作用
高谷 徳哉伊藤 寿一松岡 出笹 征史高折 修二
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1983 年 76 巻 2special 号 p. 708-714

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抄録

ネコの前庭神経内側核 (MVN) および外側核 (LVN) ニューロンの末梢前庭神経刺激による誘発スパイクに対する diphenhydramine (DP) の作用をイオントホレーシス法により研究した.
1) MVNおよびLVNニューロンを前庭神経刺激に対する反応様式からそれぞれ単シナプス性および多シナプス性ニューロンの2種類に分けた. 単シナプス性ニューロンのスパイク潜時は1.5msec以下であり, フィールド電位のN1波上に発火し, 一方, 多シナプス性ニューロンのスパイク潜時に2~3msecであり, フィールド電位のN2波上に記録された.
2) MVNにおいて多シナプス性ニューロンはDP 100-200nA投与にり用量依存性に有意に抑制され, 単シナプス性ニューロン発火はDP 200nAにより抑制された.
3) LVNにおいて単シナプス性ニューロンはDP投与により変化せず 一方, 多シナプス性ニューロン発火はDP200nA投与により抑制された.
4) 以上の成績から, DPはLVNよりも, MVNに強い抑制効果をもち 特にMVNの多シナプス性ニューロンの順行性伝達を最も強く抑制し, 上行性インパルスをおさえると考えられる.

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