76 巻 (1983) 7 号 p. 1773-1781
モルモット蝸牛血管に於ける Substance P (SP), Vasoactive Intestinal Polypeptide (VIP), Avian Pancreatic Polypeptide (APP), Gastrin Releasing Peptide (GRP) の4種の神経ペプチド分布を蛍光抗体法及びPAP法で観察した. その結果, 程度の差はあるが, 各神経ペプチド共, 蝸牛血管に十分な分布を認めた. 又上頸神経節切除によりAPPの消失を認めたが, 他の3種の神経ペプチドには変化を認めなかった.
さらに同血管に於けるアドレナリン作動神経 (ア神経) の分布を glyoxylic acid を用いた伸展法により topographic に観察し, きわめて豊富なその分布を証明した. この分布は上頸神経節切除により完全に消失した.
以上の所見はSP, VIP, GRPはおそらくコリン作動性神経 (コ神経) に近似した走行を示すと思われ, APPのみがア神経の一部を構成する可能性を示唆するものと考えた. そして蝸牛血管の収縮・拡張に関して, 従来より考えられていたア神経, コ神経の作用以外に神経ペプチドの作用をも考える必要があり, これら3者が協調してその作用を行い, 血流の調節が行われているものと推測した.