78 巻 (1985) 6 号 p. 1137-1145
めまい・平衡障害患者442例の血小板凝集能測定, 及び無作為的に選択した33症例に対して塩酸チクロピジン (パナルジン®) を投与した効果につき以下の成績を得た.
1) めまい・平衡障害症例においては, 血小板凝集能亢進 (平均66.9%) が認められ, それは, 発症に関する“危険因子”の一つと考えられる.
2) 塩酸チクロピジンの4週投与にて, 著効3例 (9%), 有効11例 (33.3%), やや有効10例 (30.3%), 無効7例 (21.2%), 悪化2例 (6.1%) の総合改善度を示し, やや有効以上の改善率は72.7%であった.
3) 自覚的所見の改善率は97%で, 個別所見では前庭症状に効果が大であるが, 蝸牛症状に対しては効果が少なかった.
4) 他覚的所見の改善率は54.5%で, 個別所見では, 眼振検査の改善率が高かった.
5) 血小板凝集能は, 投与前平均69.9%から, 投与4週時平均42.7%に低下し, 有意の低下をみた例は32例 (97%) であった.
6) 副作用に関しては, 胃部不快感1例を認めたが, 継続投与可能であった.
以上の成績より, 塩酸チクロピジンは, めまい・平衡障害に対して有用な薬剤であると考えられた.