78 巻 (1985) 8special2 号 p. 1777-1787
手術的に摘出したヒト口蓋扁桃の陰窩上皮およびその基底膜の構造を知るために上皮剥離法を応用し, 走査電顕による観察で以下の結果を得た.
1) 表面張力を応用した方法, 0.1%オスミウム酸液に長時間浸漬する方法, 超音波洗浄法を1つの試料に対して併用する事により, 重層扁平上皮を剥離する事ができ, 上皮浅層, 上皮深層, 基底細胞, 基底膜, 上皮下結合組織を観察する事ができた.
2) 上皮浅層には扁平上皮細胞数層を貫通する陰窩小孔が, 上皮深層には多角形の上皮細胞からなる channel が, 基底膜には直径1.5~10μmの多数の小孔が認められ, いずれも浸潤細胞の通路となると考えられた.
3) 基底膜の小孔は, 孔内に浸潤細胞がみられないものも多く観察され, これらの小孔は細胞浸潤の盛んな部位では, ある程度恒久的に孔の形態を保って存在するのではないかと思われた.
4) 基底膜表面は, 比較的平滑な部分, 細線維状構造がみられる部分, 顆粒状物質が密集する部分などさまざまな形態をなしていた.