日本エネルギー学会誌
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イオン液体(1- エチルピリジニウムブロミド)反応系におけるセルロースからの レボグルコサン収率の向上に向けた前処理およびマイクロ波加熱の効果
宮田 綾子宮藤 久士
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2015 年 94 巻 11 号 p. 1343-1349

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抄録
近年,木質バイオマスの溶剤としてのイオン液体に注目が集まっている。我々の研究グループは以前に,1- エチルピリジニウムブロミド([EtPy][Br] )を用いて,120 ℃でセルロースを処理すると,セルロースが部分的に溶解し,さらにセロビオース,セロビオサン,グルコース,レボグルコサン,5- ヒドロキシメチルフルフラールなどの低分子化合物へと分解すること,さらに,上記の化合物の中でレボグルコサンが最も高い収率で得られることを報告した。そこで本研究では,120℃での[EtPy][Br] 処理において,セルロースからのレボグルコサンの収率をさらに高める方法について検討を行った。まず,[EtPy][Br] 処理を行う前に,セルロースを非晶化させるため,1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド([C2mim][Cl]),1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート([C2mim][OAc])または1-エチルピリジニウムクロリド([EtPy][Cl])を用いた前処理を行う方法について検討を行った。その結果,いずれのイオン液体を用いた前処理においても,レボグルコサンの収率が顕著に向上した。次に,[EtPy][Br] 処理において,マイクロ波加熱を用いる方法について検討を行った。マイクロ波加熱を行った場合,通常のオイルバス加熱を行った場合と比べ,レボグルコサンはより短時間の反応で,より高い収率で得られた。これらの方法を用いて[EtPy][Br] 処理を行えば,セルロースから効果的にレボグルコサンを得ることが可能であることが明らかとなった。
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© 2015 一般社団法人 日本エネルギー学会
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