日本エネルギー学会誌
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論文
グラフィカルモデリングを用いた環境用語による発信情報の構造解析
上田 翔八木田 浩史
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2015 年 94 巻 4 号 p. 327-334

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抄録

環境問題は,さまざまな要素を含んだ問題であり,関連する情報間に存在する関係性は複雑である。環境問題の解決には,複雑な関連情報間の関係性を体系化して理解することが必要である。複雑な情報を体系的に整理する際には,図示することが効果的な場合がある。本研究では,環境問題に関する情報のうち環境用語の出現数に着目して,発信情報を解析し,科学研究費助成事業,新聞,論文,議事録,国会図書館,白書の発信媒体における違いを明らかにする。使用した環境用語は,「地球温暖化」,「バイオマス」,「ダイオキシン」,「アスベスト」,「オゾン層」,「環境ホルモン」,「二酸化炭素」,「排出権取引」,「再生可能エネルギー」,「リサイクル」,「太陽光発電」,「温室効果ガス」である。解析はグラフィカルモデリングを採用し,モデル間の類似度から,グループ分けをした。その結果,使用した環境用語は「地,球温暖化」「バ,イオマス」「ダ,イオキシン」のグループに分類できることがわかった。「ダイオキシン」はメディア関連の用語,「バイオマス」は専門家関連の用語「,地球温暖化」は行政関連の用語であると示唆された。“3つのグループ間で発信情報の関係性が異なっていること”と“3つのグループ毎に共通する環境問題の特徴”が分かる結果を得た。発信情報の体系化と図示化を行うための結果の一部が得られたと結論付ける。

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© 2015 一般社団法人 日本エネルギー学会
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