日本エネルギー学会誌
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論文
Potential of Amine-based Solvents for Energy-saving CO2 Capture from a Coal-fired Power Plant
Kazuya GOTOFiroz Alam CHOWDHURYHidetaka YAMADATakayuki HIGASHII
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2016 年 95 巻 12 号 p. 1133-1141

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抄録

アミン吸収液による火力発電所燃焼排ガスからのCO2分離回収について,所要エネルギー削減に向けたアミン系吸収液の可能性を検討した。具体的には,アミン系吸収液のCO2溶解度をCO2吸収反応をもとに気液平衡をモデル化し,CO2分離回収プロセスおよびCO2回収型石炭火力発電システムを対象にエネルギー収支を解析した。その結果,CO2分離回収の所要熱エネルギーの削減には吸収液のCO2回収容量や吸収熱を小さくすることが効果があった。また,CO2濃度1 2% の燃焼排ガスに対して,所要熱エネルギー2 GJ/t-CO2の可能性が示され,その場合の発電効率の低下は7.2%pt.となった。CO2回収型発電システムに対するCO2分離回収の影響は,化学吸収液の所要熱エネルギーを0.6 GJ/t-CO2下げることにより,発電効率を1%pt. 改善することができる。これら結果は化学吸収液の更なる高性能化の可能性を示している。一方,吸収液の再生温度については90℃~130℃の範囲において発電効率への影響は小さかった。今回の解析手法はCO2回収技術の実施に向けた検討に有益であり,様々なCO2排出源への展開が期待できる。

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© 2016 The Japan Institute of Energy
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