日本エネルギー学会誌
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論文
再生可能エネルギーと雇用創出ポテンシャル:産業連関モデルによる比較分析
森泉 由恵本藤 祐樹中野 諭
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2017 年 96 巻 1 号 p. 16-27

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抄録

本研究では,12種の再生可能エネルギー発電技術を対象に,ライフサイクルにわたる雇用創出効果の分析を行った。著者らが開発した再生可能エネルギー部門拡張産業連関表(REFIO)を用いて直接間接の雇用創出量を推計し,各技術の特徴を定量的に明らかにした。REFIOを用いることにより,12種の再生可能エネルギー発電技術について,共通の手法論に基づく比較を行うことができる。分析より,各発電技術固有の特徴が見出された。推計されたライフサイクル雇用創出ポテンシャルは,1.01~5.04人・年/GWhと技術により大きく異なることが示された。また,本研究では,雇用がどこで創出されるかに着目し,輸入による影響の分析を行った。その結果,太陽光発電と風力発電は,他の技術に比べて海外での雇用創出量が大きいことが示された。さらに,本研究では,量的側面だけでなく,創出される雇用機会の質的側面についても検討している。例えば,地熱発電における地熱井の掘削や木質バイオマス発電におけるプラント運転など,各技術に固有の活動を行うための人材が求められる。その一方で,全技術に共通して,法務・財務・会計サービスや輸送をはじめとする幅広いサービス部門において多くの雇用が誘発される。

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© 2017 一般社団法人 日本エネルギー学会
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