日本エネルギー学会誌
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論文
家庭用燃料電池システムの水素製造余力を用いた燃料電池自動車用水素製造可能性の評価
小野 優輔羽田 貴英池上 貴志秋澤 淳
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2017 年 96 巻 10 号 p. 478-486

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抄録

CO2の排出削減に必要な解決策の一つとして,燃料電池自動車(FCV)の普及が期待されている。しかし,2017年1月現在,全国の水素ステーションは81ヶ所のみであり,水素供給インフラ建設の必要性が増してきている。本研究では,家庭用燃料電池内部に組み込まれている改質器が持つ未活用の水素製造能力に注目した。改質器と燃料電池スタックがそれぞれの効率の良い部分負荷率で独立に運転され,改質器の余力を用いてFCV 用水素を製造するシステムを提案した。改質器と燃料電池スタックの最適運転計画モデルを構築し,24世帯を対象にFCV用水素製造可能量を計算した。24世帯すべてにおいて少なくとも年間8,000 km走行分の水素1,040 Nm3を製造可能であることが分かった。さらに,東京都多摩地区を対象としたケーススタディにより,集合住宅の各世帯に本システムを導入した場合の水素供給ポテンシャルを評価した。多摩地区内の10ヶ所の集合住宅に本システムを導入した場合,2025 年のFCVの普及目標に対して80.9%のFCVの水素需要を満たすことができることが示された。

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© 2017 一般社団法人 日本エネルギー学会
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