日本エネルギー学会誌
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技術論文
北方型住宅向けエネルギー管理システムに関する開発研究
川村 淳浩林 裕樹森 太郎梶原 秀一千田 和範野口 孝文荒井 誠内海 洋
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2017 年 96 巻 4 号 p. 112-120

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抄録

本研究は,寒冷地住宅の快適性を損なわずにエネルギー消費量を低減するため,ICTと日射エネルギーを効果的に活用する北方型住宅向けエネルギー管理システム(HEMS)の構築を目的としている。この中核技術が,在室者の周囲の温度と照明を調節する室内環境制御システムと,換気のために導入される低温の外気を蓄熱した日射エネルギーで温める換気昇温器を備えた太陽熱利用システムである。前者は居室全体の平均室温や照度を上げないことで無駄なエネルギー消費量を抑えることを狙いとし,後者は貯湯タンクの蓄放熱効率を上げることで太陽熱利用システムの総合効率を向上することを狙いとした。これらの実証に向けて,既設の北方型実験住宅に太陽光発電システムやHEMSコントローラとともに上記の中核技術を適用した。在室者の周囲の温度と照明の調節には,在室者を検知して採暖や照度を制御する専用のモジュールを組み込んだ。平成25年12月初めから平成26年3月末までの期間稼動させた結果,換気昇温器を備えた太陽熱利用システムの有効性が見い出され,システム全体として快適性の改善に向けた知見と灯油使用量の低減に向けた示唆が得られた。

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© 2017 一般社団法人 日本エネルギー学会
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