2017 年 96 巻 5 号 p. 144-152
チタンアルコキシドを原料とし,細孔径が異なるメソポーラスシリカのチタニアコーティングを徹底的に水分を除去した条件下で数回行った。細孔径が3 nmの場合,1回のコーティングで細孔閉塞が起きた。一方,7 nmでは3回のコーティングまで,10 nmでは5回コーティングでも細孔の閉塞は見られなかった。このような違いは,シリカ壁の湾曲率の違いで説明することができた。種々の分析およびキャラクタリゼーションから,チタニアはシリカ細孔内に均一に分布し,3回コーティングを行う事で,細孔全体を覆うことがわかった。そして,チタニア膜形成機構を提案した。このようにして調製したチタニアコーティングメソポーラスシリカを担体とし,モリブデンを担持した触媒の脱硫活性を評価した。ジベンゾチオフェンの脱硫においては,チタニアコーティングの影響が見られなかったが,4 , 6 -ジメチルジベンゾチオフェンに対しては高い脱硫活性を示した。これは,チタニアコーティングにより触媒の水素化活性が向上したためで,ナフタレンの水素化実験結果と一致した。更に,メソポーラスシリカ細孔を三次元化することで,脱硫活性を飛躍的に向上することができた。