日本エネルギー学会誌
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論文
固形産業廃棄物の基礎燃焼挙動
浅井 俊比古植木 保昭義家 亮成瀬 一郎寺崎 淳一上野 直樹
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2017 年 96 巻 6 号 p. 167-175

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抄録

固体可燃性廃棄物の基礎的な燃焼挙動を把握するために,電気加熱式バッチ炉を用いて固体可燃性廃棄物の等温燃焼実験を行い,廃棄物の燃焼挙動に及ぼす炉壁温度および雰囲気ガス中酸素分圧の影響について検討した。また,すべての試料について実験結果をもとに各種反応モデルを用いて速度論解析を定量的に試みたところ,以下のような知見を得た。まず,炉壁温度および酸素分圧を上昇させると燃焼完結時間は短くなる。揮発分放出時間は瀝青炭,オイルコークスおよび複合材系廃プラスチック,95%反応時間はオイルコークス,複合材系廃プラスチックおよび瀝青炭の順に短くなる。オイルコークスは容積反応モデルとグレインモデルによる並列モデルで,複合材系廃プラスチックおよび瀝青炭は容積反応モデルと細孔モデルによる並列モデルを用いることにより実験結果の反応挙動をモデル化できる。固定炭素燃焼の活性化エネルギーはオイルコークスが最も大きく,複合材系廃プラスチックおよび瀝青炭はほぼ類似している。いずれの試料においても揮発分放出については酸素分圧の反応次数がほぼ0,固定炭素燃焼は酸素分圧の反応次数がほぼ1 となる。

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© 2017 一般社団法人 日本エネルギー学会
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