2017 年 96 巻 9 号 p. 372-375
本論文では,鉄鋼スラグ:製鋼スラグ(SMS)および高炉スラグ(BFS)施用による淡水性微細藻ボトリオコッカスBotryococcus brauniiの増殖促進と,B. brauniiが生産する脂質の生産性向上を検討した。BG-11培地にSMS 5 g L-1を添加したところ,対照区と比較して約1.74倍の増殖促進効果が得られた。また,脂質濃度は対照区の約2.16倍であった。BFSの場合にも,5 g L-1の添加により,対照区の約2.39倍の増殖促進効果が得られた。さらに,脂質濃度も対照区の約4.47倍であった。いずれのスラグでも,バイオマス生産性と共に脂質生産性が向上する結果が得られたが,BFSの方がより脂質生産性を向上する結果が得られた。SMSにおいては鉄成分溶出の効果が示され,一方,BFSにおいては鉄以外の成分の効果が示唆された。