2018 年 97 巻 8 号 p. 252-260
100 t/日未満の中小規模のごみ処理施設では経済的観点から発電は難しいため,RDFや炭化燃料などのごみ燃料化技術を導入することで,リサイクル率を高め,未利用のエネルギーを回収するという視点が重要と考えられる。2015年7月に炭化燃料化技術を導入して竣工した西海市炭化センターでは,30 t/日という小規模施設でありながら,民間発電事業者のボイラ用石炭混焼燃料として利用する国内初のシステムを構築した。2年間の運用で得られた炭化燃料の性状は,発熱量16,000 kJ/kg以上,塩素濃度3,000 mg/kg-DB程度であり,粉砕性を示すHGIが224と石炭と比較して高く,そして溶出試験や含有量試験,ダイオキシン類濃度とも基準値内であり,保持温度100℃での発火はなかった。実績データからのエネルギー回収率の試算では,炭化燃料による発電が18%とRDFによる発電の16~21%と同等であり,単純焼却の1~13%と比較して優位性があることが示された。