日本エネルギー学会誌
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論文
ミャンマーにおけるミニグリッド電源の経済性評価
沼田 雅子 杉山 昌広茂木 源人Wunna SweANBUMOZHI Venkatachalam
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2020 年 99 巻 7 号 p. 67-74

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抄録

ミャンマーの電化率は約40%であり,その改善は急務である。エネルギーアクセスの重要性は持続可能な開発目標の目標7 でも述べられている。ミャンマー政府は2030年までに100%の電化達成を計画しているが,この意欲的な目標達成のためには基幹送電網延伸のような集中型の手段と分散型の手段の両方を考慮するべきである。本稿では,電化の手段の中で,分散型のミニグリッドについて着目した。ミャンマーでは他の途上国と同様に,ミニグリッドの電源としてディーゼル発電機が多く使われている。電源について議論する際,コスト競争力は重要な尺度である。著者らは太陽光を電源とするミニグリッドは,旧来のディーゼル電源のミニグリッドと比較して,コスト競争力があるか,という観点から評価を行った。著者らはインタビュー調査とフィールドワークによりミャンマーの価格データを集め,それを基にミニグリッドの均等化発電原価を計算した。結果より,太陽光発電とバッテリーを電源とするミニグリッドは,ディーゼル燃料価格が都市部より高くなる地方部においては,ディーゼル電源のミニグリッドに対してコスト競争力を持つ,ということが分かった。しかしながら,より効率的な運用のためには,商業利用のような日中の電気利用を促進することが必要である。

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© 2020 一般社団法人 日本エネルギー学会
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